暖かくなるにつれて、日に日に強くなる“紫外線”。「何となく肌に悪いという話は聞いたことがあるけど、詳しくは知らない」という方も多いのではないでしょうか?
意外と知らない紫外線の脅威。今日はあらためて紫外線について学び、紫外線から肌を守る方法を考えてみましょう。
紫外線が肌に及ぼす影響
私たちが日々浴びている太陽光は、波長により「紫外線」「可視光線」「赤外線」に分かれます。「紫外線」は目に見える可視光線よりも波長が短いのが特徴で、地球に届く太陽光の約6%を占めると言われています。
7色に分かれる可視光線の紫側にある光線が紫外線。化粧品などでは「UV」と表現されますが、これは「紫を超えた」という意味の“ultra-violet”に由来しています。
「赤外線」に地球を暖める作用があるのに対し、「紫外線」は殺菌作用や、体内でビタミンDを生成するといった化学的な作用を持つのが特徴です。
通過する力が強いUV-A
紫外線が肌に及ぼす影響は種類によって異なります。
まず、UV-Aは通過する力が強く、年間を通して地表に降り注ぐ紫外線です。紫外線の中では最も害が少ないと言われていますが、長時間浴び続けることによって肌にダメージが蓄積します。
肌の表皮を通過して真皮まで到達する力があるため、繊維芽細胞やコラーゲンに影響を及ぼし「たるみ」の原因になることがあります。
また、メラニン色素を酸化させて「肌を黒くさせる」作用もあります。
肌への影響が強いUV-B
次にUV-B。通過する力がUV-Aに比べて弱いため、太陽からの日射に占める割合は0.1%程度と、ほとんどがオゾン層などに吸収されます。
ただし影響力は高く、短時間浴びただけでも「肌が赤くなる炎症反応」を引き起こします。スポーツやレジャーの日焼けの主な原因であることから、「レジャー紫外線」とも呼ばれます。
日焼けはもちろん、「シミ」「そばかす」「しわ」の原因になったり、「表皮細胞を傷つけたり」と、肌に大きな影響を与えます。
実は怖いUV-C
最後にUV-C。通過力が一番弱いため地表には到達しませんが、人体にとって最も有害とされる強力な紫外線です。
今はオゾン層などに吸収されて地表に届くことはありませんが、オゾン層の破壊が進むと地表に到達する可能性が高くなるため、その影響が懸念されています。
恐ろしい肌の老化
長時間浴び続けることによって、「肌の弾力低下」「シミ・そばかす」「しわ」といった肌の老化を促進させる紫外線。
肌の老化原因の“約8割”が紫外線だと言われているから驚きです。
また、「細胞やDNAを傷つける」ことによって皮膚がんを誘発する可能性もあり、より一層紫外線を危険視する声が高まっています。
紫外線は春から強くなる!
「紫外線が最も強い季節は?」と聞かれれば、もちろん「夏」です。7月~8月にかけて紫外線量は最も多くなります。
しかし、春も注意が必要です。3月から徐々に増え始め、5月になれば夏とほとんど変わらない紫外線量が地表に降り注ぐようになります。
これは、紫外線の量が太陽からの距離に関係しているためです。
夏に日焼けするというイメージが強いため、紫外線も真夏が最も強いような気がしますが、太陽までの距離が最も近づく夏至は「6月21日頃」。その前後2ヶ月は「4月21日~8月21日」となるため、春の時点で既に紫外線は強くなっているわけです。
紫外線が強い時間帯・場所
季節と同じ理由で、太陽との距離が近くなる10時~14時の時間帯は1日の中で最も紫外線が強くなります。1日の紫外線の半分以上がこの時間帯に降り注ぐと言われています。
また、場所によっても紫外線量は異なります。例えば山の上にいる時は、平地にいるよりも紫外線を多く浴びる可能性が高くなります。また、雪はアスファルトや土に比べて紫外線の反射率が高いため、雪の上は紫外線量が多くなります。
曇っていても要注意
雲は紫外線を遮断してくれるため、快晴の時に比べて雨なら約3割、曇りの時なら約6割まで紫外線量が減少します。
つまり、逆に言えば6割もの紫外線は曇りの時でも降り注いでいるわけです。
雨なら3割まで減るので、そこまで気にする必要はありませんが、曇りの時は注意が必要です。少し晴れ間が見えて薄曇りになってしまえば、実に8~9割の紫外線が地表まで到達します。
曇っているからといって安心してはいけません。しっかりと紫外線ケアをして外出してください。
紫外線を防ぐために
肌に強い影響を及ぼす紫外線。浴びすぎることがないように、こまめなケアが必要です。
まずは、「そもそも紫外線に肌をさらさないこと」が何より大切です。外出時に日傘を差したり、大きめの帽子・サングラスを身に付けたり、少しでも紫外線が直接当たらないように工夫してみましょう。
また、「日焼け止め」を使ってしっかり肌を守りましょう。シーンに合わせて適切な日焼け止めを使えば、効率よく紫外線をカットすることができます。
SPF(=Sun Protection Factor)
日焼け止めの防止効果は「SPF」と「PA」の2つの数字で示されます。
まず、SPFはUV-Bの防止効果を示す指標です。SPF○○と表示され、○○の数値が高いほどUV-Bを防ぐ効果が高いことを表しています。数値には2~50の幅があり、50以上は50+と表示されます。
数値は、「何も付けていない素肌に比べ、日焼けが始まるまでの時間を何倍に伸ばすことができるか」を意味していて、「○○時間の効き目がある」ということを示しているわけではありません。
例えばSPF10は、素肌が20分で日焼けしてしまうのに対し、日焼けを200分まで引き伸ばすことができる、ということを意味しています。
PA(=Protection Grade of UVA)
SPFがUV-Bの防止効果を示すのに対して、PAはUV-Aの防止効果を示します。「PA+」や「PA+++」と表示され、+が多いほど効果が高いことを表します。
PA++++ | 極めて高い効果がある |
PA+++ | 非常に効果がある |
PA++ | かなり効果がある |
PA+ | 効果がある |
以前は「PA+++」までしかありませんでしたが、UV-Aを防ぐことの重要性が増してきたこともあり、2013年に「PA++++」が追加されました。
短時間の買い物や散歩あれば、「SPF10/PA+」でも紫外線を防ぐことができますが、真夏の海など、明らかに日焼けするとわかっている場所にいくのであれば、「SPF50+/PA++++」の日焼け止めを持っていったほうがいいでしょう。
日焼け止めの塗り方
日焼け止めは使用量・用法を守って、塗り忘れのないように使いましょう。少し多いと感じるくらいの量を使い、日に当たりやすい「おでこ」「鼻」「頬」を中心に丁寧に塗ってください。耳の後ろや襟足、デコルテは塗り忘れをしやすいので要注意。
また、日焼け止めは小まめな重ね塗りが大切です。少し面倒でも2~3時間おきに塗りなおすようにしてください。
もちろん、ウォータープルーフでも塗りなおしは必要です。衣服との摩擦や汗・皮脂によって落ちてしまうことがあるので、定期的に重ね塗りをしましょう。
紫外線対策はお早めに
4月に入り、少しずつ強くなってきた紫外線。「まだ大丈夫」とは思わずに、早め早めの対策が大切です。
「紫外線を防ぐことで、肌の老化を遅らせることができる」と思えば、少し面倒でも小まめにケアをする気になるかも知れません。
紫外線対策をしっかりして、美肌美人を目指しましょう!